Cameraと散歩

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170703 共謀罪法

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170615の朝刊記事


共謀罪」法強行成立へ
与党、異例の委員会省略
「加計」追及を回避
野党 内閣不信任案で対抗


〜の見出し
この「共謀罪」法強行成立へ という見出しの大きさを見て、遠い昔の新聞記事を思い出した。




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そう、天皇陛下崩御の記事である。
さすがにここまで大きくはないが、近来稀に見る大きさの見出しだと思う。




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元号の見出しでさえもこの程度である。




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そして記事本文では

”自公両党が成立を急ぐのは、23日告示の東京都議選への影響を最小限に抑えるとともに、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる野党の追及を封じるため国会を早期に閉じることが狙い。”

〜としているが、誰に取材して書いたのか情報源が明らかにされていない。 記者や新聞社の思惑で書いているのではないか。
つまり、この記事は事実の報道ではあるまい。


組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」を審議すべきなのに、「加計学園」が獣医学部愛媛県今治市に新設することを国が認めたことで設置の手続きに安倍首相が便宜を図ったのではないかということに関しての質問が多くの時間を使われ、本題の審議がなされないため本会議でその旨報告し採決に進むとしたもので、それを”採決を強行する”と書くのは無理がありはしないか。

悪く言うと、最近とみに言われている”印象操作”をしていると言われかねないだろう。



学校法人「加計学園」の獣医学部新設認可に何ら違法性がないのだから、この件で多くの時間を使うのは正常な国会審議とは思えない。





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17/06/16の朝刊記事

共謀罪」募る危惧
法成立 与党が採決強行
「加計」きょう集中審議


徹夜国会の末、与党は参院法務委員会の採決を省略する「中間報告」の手続きにより、野党が反発する中で本会議採決を強行した。


〜としているが、議事日程に従い採決に入ったが、ここでも、「採決強行」とあたかも機動隊等の力を使って採決を行ったかのように書いている。

開会時刻を遅らせ、昔社会党がやっていた懐かしい牛歩戦術をとるなどして採決を遅らせるのは、嫌がらせ以外の何物でもないであろう。

はたまた誰かに”よくここまで頑張った”と言ってもらえるのだろうか。




近年通常は6面にある社説が16日の朝刊ではそれこそ昔懐かしい1面にあった。



社説 口つぐむ国民にはならぬ

安倍晋三首相がかつて繰り返した「戦後レジーム(体制)からの脱却」とは、詰まるところ「戦前回帰」だった。
そうした思いが募るばかりだ。

4年半前の政権復帰以来の道のりをあらためてたどってみたい。
まず、特定秘密保護法で国民の目と耳に覆いを掛けた。
情報を遮断した上で整備したのが、違憲の疑いが強い安全保障法制である。

そして、今度は、口封じの「共謀罪」法だ。

正式には、「共謀罪」の構成要件を変えて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法と言うべきなのかもしれない。
しかし、その内実は国民の内心の自由を脅かし、発言や行動を萎縮させる法律にほかならない。

だからこそ、私たちは廃案を訴え続けてきた。
ところが与党は、疑問点を解消しないばかりか、委員会採決という手続きをすっ飛ばす「中間報告」という奇手まで繰り出し、押し切った。

極めて異常である。

憲法の理念に沿わない法律は廃止すべきだ。

同時に国民は、法の運用に監視の目を光らせ、言論統制につながる動きにはしっかりと「ノー」を突きつけなければならない。



〜と主張・指導している。


現在は、「犯罪が起き、犠牲者が出てから捜査して犯人を捕らえ処罰する」とのことだが、「犠牲者が出る前に犯罪を未然に防ぐ」ことに変えるということなのに、なぜ反対するのかわからない。

あなた方は最初の犠牲者になって我々を護ってくれるのか。

いやいや、こんなに反対するのは、この法律が成立すると何か困ることがあるのではないかと勘ぐってしまう。





170627 十年前の懸念

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藤原正彦管見妄語


十年前の懸念


郵政解散はちょうど10年前の2005年だった。

郵政民営化法案は造反議員が多く出たため衆院では5票差で可決されたものの参院では否決された。

そこで小泉首相はなんと衆院解散したのだ。

「公務員である郵便職員26万人が民間人になれば財政削減になる」などと言ったが、郵政公社は独立採算であり、人件費に税金は1円も使われていなかった。

「官から民へ」とマスコミを挙げての宣伝に、国民はいつも通りに騙されて、小泉自民党は歴史的大勝利を収めた。

造反議員達は抵抗勢力とか既得権にしがみつく守旧派と指弾されたうえ、自民党公認を取り消され刺客を立てられるなどした。

落選したり国民新党を結成したりしたが、彼らの多くは私の見る所、自民党の中でも最も真面目に国を憂える人々だった。




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彼らが議席をも賭けて反対したのは、よく勉強し郵政改革の真実を知ってしまったからだった。

1990年代にアメリカはそれまでの対日方針を変え、日本をアメリカの財布にしようと考えた。

「(アメリカは)1994年から年次改革要望書で毎年、郵政事業を民営化せよと要求していた」
「小泉構造改革の内容は・・・・いずれもデフレ政策であり、日本に蓄積されている個人の金融資産を日本のために使わせないようにする戦略であった」(菊池英博『そして日本の富は略奪される』ダイヤモンド社)。

財政赤字国アメリカは、郵貯簡保にある350兆円に目をつけ、新規米国債の引受け先にしようと狙いをつけたのである。

この戦略についてはすでに1993年に、米シンクタンク戦略国際問題研究所の日本部長だったケント・カルダー氏が、「(日本の)郵貯の活用が世界経済の活性化につながる」と米経済誌に書いていた(佐々木実『市場と権力』講談社)。




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郵政法案とはこのような流れの中で竹中平蔵郵政民営化担当大臣の指揮の下、法案提出前の1年間だけでアメリカと17回もの入念な協議を重ね練られたものだった。

純粋に国内問題のはずなのだが。

造反派が恐れたのは、民営化し株式を上場した段階で、郵貯と保険の2社が外資に買収されることだった。

日本国債の最大かつ最安定の引き受け手である2社が外資に握られたら、外資の意向で国民の財産350兆円が運用され日本経済の基盤は一気に崩される、と考えたのである。




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民営化後10年をかけて日本郵政は今秋11月4日に株式上場される。

上場にあたっての中軸的な幹事証券は、野村、三菱UFJモルガン・スタンレーJPモルガンゴールドマン・サックスと決まった。

外国証券がこれほど入るのは異例だ。

JAL上場では5社とも日本だった。

かんぽ生命は日本生命と5年以上にわたりガン保険を共同開発してきたが、急遽アメリカのアフラックのものを売り出すことになった。

また日本郵政は、日本のIT企業でなく米アップル、米IBMと組んで、高齢者用アプリを搭載したiPadを高齢者に配ることになった。

4、500万台に上るという。

これほど多くの人々の情報が外国に握られてしまうことになる。




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日本郵政はすでに資産運用にあたり日本国債の比率を下げると言明し、運用部門のトップにゴールドマン・サックス証券の前副社長を採用した。

日本は、すでにアメリカの財布になりつつある。

それに外資がいつか株式の20%ほどを買うことは充分ありうる。

その外資が「格付けも利率も日本国債よりはるかに高い米国債を買え」と要求すれば、当然従わざるを得ない。

事実上うることのできない米国債だ。




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何もかも10年前に懸念されていたことだ。

日本を犠牲にしてでもアメリカに貢献したいという不思議な人々が、小泉時代から現在に至るまで我が国の経済政策決定の中枢にいるのだ。

郵政上場に関し本質論は何も聞こえてこない。

TPPについてもそうだが、我が国の富をアメリカへ貢ぐことについてマスコミは、賛成しても反対はしない。

管見妄語 藤原正彦 週刊新潮 第60巻38号から