Cameraと散歩

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150110 仏週刊紙銃撃 G1

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150110の新聞記事

仏週刊紙銃撃
「対話のみが解決の道」
渡辺東京外大教授に聞く


編集者らが死亡したフランス週刊紙銃撃事件。
言論に対する残忍なテロの背景について東京外大の渡辺啓貴教授に聞いた。

イスラム系の犯行とみられるパリで起きた週刊紙銃撃事件は多方面に影響が出るだろう。
第一に、テロは治安問題であるから、過激派テロが日常化することによって市民生活への不安の増幅は避けられない。
過激派「イスラム国」に参加したイラク・シリア帰りの市民のテロリスト化の脅威も増大するであろう。
またこの問題は政治面にも波及する。
治安対策は一般的に保守派政権で強化され、左派系政権では緩和される。
(略)
今回の事件でオランド社会党政権はその治安態勢の不備を強く問われることになるだろう。


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第二に、テロリストと一般のイスラム系住民は分けて考えるべきであるが、この事件がフランスやヨーロッパの社会問題と結びついていることは否定できない。
フランスは伝統的に移民の同化政策をとっている。
その条件のひとつが、公共の場での「非宗教性」である。
もともとフランスでカトリックの影響力が社会全般に強い時代に、政治や教育に対してカトリック勢力が介入しないための制度として誕生した。
これはフランス社会の原理に関わるものだ。
したがって、フランス国民が、イスラム教徒だけが特殊性を持つと受け入れることはないだろう。
しかしフランスで同化できず、生活環境の悪化に苦しむイスラム系住民の不満には応えていかねばならない。
(略)


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第三に、フランスやヨーロッパに存在する社会格差の問題がある。
貧富の差だけではなく、日常生活の中で容易には乗り越えられない文化的・感情的な壁がある。
(略)
今回襲撃を受けた風刺週刊紙シャルリエブドなど、メディアの過度の風刺は、社会対立を煽るだけである。
(略)
風刺というのはヨーロッパ的な知性であるのだが、その判断基準はヨーロッパ的な価値観にある。つまり問題の根底には、そうした文化的価値をめぐる差異がある。
今回のようなテロは近代以後のヨーロッパ的価値観への異議申し立てを意味してもいる。


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文化の多様化の時代に、ヨーロッパ的価値の絶対優位は揺らいでいる。
多様な価値をどのように共存させていくのか。
それにはグローバルな視野から「対話」を重ねていくしか解決の道はない。
テロをやめさせるにはその根底にある社会・文化的価値観の協調が不可欠である。



「対話」で社会・文化的価値観の協調ができるとは思えないのだが、、、