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Cameraと散歩

since '140125

160926 性選択による脳進化

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性選択による脳進化


「進化論の祖」であるダーウィン自身も指摘したことだが、人間の進化、特にその脳や知能の進化に「性選択」が相当な重みで関わってきたのはないか。

性選択とは、自然環境から受ける自然選択とは異なった様式の選択で、オスに対するメスの好みや、メスをめぐるオス間の競争などの性的な関係によって起こることがある。
社会関係の複雑さの程度を表すと考えられる「群れの大きさ」が、相対脳重とも大脳新皮質の発達の程度とも有意な正の相関関係を持つことも確認されている。

つまり、より大きな群れを作るサルほど、脳・大脳新皮質がよく発達しているのだ。
脳・知能を発達させた大きな要因の一つが社会関係の複雑さであることは間違いない。
とはいえ、「性競争は脳進化の要因ではない」とも言えない。


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この問題はもっときちんと調べる必要がある。
その方法の一つは、性競争の程度を示す適当な指数を計算して、相対脳重や大脳新皮質の発達の程度との関係を調べることだ。
そうした指数として適当なのは、オスとメスの体格の違い(性的二型)と社会性比である。

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メスに比べてオスの体格が大きいほど、また、オス1頭あたりのメスの数(社会性比)が大きいほど、メスをめぐるオス間の性競争は激しいし、これらの間には正の相関がある(社会性比が大きいほど、オス/メスの体重比が大きい)。


ちなみに、ヒトの場合でも男女で体格差があることは明らかで、その平均的な値から 社会性比を計算すると、ヒトの場合、社会性比は約2になる。
つまり、少なくとも理論上は、男性1人あたりの妻の数は平均して2人が妥当、ということになる。


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霊長類では、メスに対するオスの体格が大きいほど(性的二型の程度が大きいほど)、また、社会性比が大きいほど、より発達した脳と大脳新皮質をもつのである。
多数の霊長類の比較でわかったことが、そのまま人類に通用するとは限らない。
ついでに言えば、性選択には「オスに対するメスの好みによる進化」という形式もある。

性選択がヒトの脳・知能の進化にも働いてきたことが正しいとしても、それには、女性をめぐる男性間の性競争だけではなく、「女性の好み」も相当な重みで関与してきた可能性もあるのだ。
これに関する定量的な研究は現時点では皆無といってよいのだが、いつか証明される時が来ると、密かに予想・期待している。

澤口俊之著 「わがままな脳」より