’17/11/15 卓上四季
「お役所仕事」「杓子定規」−–。
柔軟性に欠ける公務員の対応をこう揶揄することがある。
筆者もかつて、電話取材で役所側のあまりの融通の利かなさに腹を立て、電話をたたき切った。
とは言うものの、それが法律や条例に従って仕事をする「公務」なのかもしれない。
同じ案件なのにあっちを認めてこっちは認めぬ、では理解が得られないからだ。
杓子定規は時として、譲ることのできない公務員の特性なのだ。
きのう文部科学相が認可した、加計学園獣医学部新設を巡る一連の問題はどうか。
確かに文科省の審議会は新設を認める答申を出した。
しかし、それ以前の、政府が国家戦略特区で学部新設を認めたプロセスについては、多くの疑念が残ったままである。
来春の開学が決まり、学生募集も近く始まる見通しだ。
恣意的な力で行政がゆがめられた恐れがあるにもかかわらず、物事がなし崩しに進んでいく。
担当してきた文科省職員はどんな思いだろう。
印鑑が1カ所足りないだけで、役所は書類を受け付けてくれない。
だが、それは仕方ない。
そこに情実や忖度が働くようでは、公平性や公正性が揺らぐ。
加計学園問題でも、同様の対応が求められるはずなのだが。
政府はこれで終わったと思っては困る。
安倍晋三首相は疑念が晴れるまで、説明責任を果たさなくてはならない。
首相の友人である学園理事長の国会証言も当然欠かせない。 2017.11.15
171115 新聞の主張 加計学園問題