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181031 元徴用工の個人請求権認定 新日鉄住金の賠償確定 韓国最高裁 (追記完)

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2018/10/31の北海道新聞朝刊記事1面から

元徴用工(1)の個人請求権認定 新日鉄住金の賠償確定 韓国最高裁

【ソウル幸坂浩】日本植民地時代
(2)に徴用され強制労働させられたとして韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国最高裁は30日、同社側の上告を棄却し、1人当たり1億ウオン(約1千万円)の賠償を命じた二審判決が確定した。

元徴用工の個人請求権を認める判決が確定したのは始めて。

安倍晋三首相は「国際法に照らしてあり得ない判断だ」と反発。

韓国側の対応によっては、日韓関係が大きく悪化する恐れ(虞)がある。
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日本政府は徴用工問題は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」との立場。(4)

新日鉄住金もその見解に基づき争ったが、判決では元徴用工の動員について「日本の不法な植民地支配(5)に直結した日本企業の反人道的な不法行為」と指摘。

こうした不法行為に対する「慰謝料請求権(個人請求権)」は協定に含まれず、消滅していないと認定した。

韓国の李洛淵イナギョン首相は30日、最高裁の判断を尊重するとした上で「関係省庁や民間の専門家などと共に政府の対応策を講じていく」との政府見解を発表した。




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判決後、原告の支援団体は記者会見を開き、新日鉄住金が賠償命令を履行するか和解を選択することに期待を示す一方、韓国内にある同社資産の差し押さえ手続きを取る可能性も示唆した。

一方、同社は「日本政府の対応状況なども踏まえ、適切に対応する」との見解を発表した。



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請求権協定は、両国と国民の間の財産や請求権の問題が「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記。

ただ韓国最高裁は一、二審で原告が敗訴後、2012年に個人請求権は消滅していないと判断、審理をソウル高裁に差し戻した。

同高裁が13年に原告勝訴の判決を下し、新日鉄住金が上告していた。

韓国ではこのほかにも、三菱重工不二越など日本企業約70社を相手取った14件の訴訟が進行しており、影響は必至だ。
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(1) 元徴用工 :
昭和13年(1938)4月に「国家総動員法」が制定された。
昭和20年(1945)12月に効力を失い昭和21年(1946)4月に廃止された。

昭和14年(1939)7月8日に平沼騏一郎内閣が勅令により「国民徴用令」を制定
昭和19年(1944)8月8日、国民徴用令の適用を免除されていた朝鮮人にも実施するとした閣議決定がなされる。
昭和19年(1944)9月から女子を除いて実施され、昭和20年(1945)8月の敗戦までの11ヶ月間実施された。
日本本土への朝鮮人徴用労働者の派遣は昭和20年(1945)3月の下関ー釜山間の連絡線の運航が困難になるまでの7ヶ月間実施された。
昭和20年(1945)3月6日国民勤労動員令公布・施行により廃止

徴用され強制労働させられたとする韓国人4人は、いつどこで徴用されたのかは記事には書かれていない。




(2) 日本植民地時代 :
「日本統治時代」の誤記ではないか。
それとも「社」としての姿勢なのであろうか。

韓国併合ニ関スル条約」は、明治43年(1910)8月22日に漢城府:ソウル特別市)で寺内正毅統監と李完用総理が調印し、29日に明治天皇大韓帝国皇帝純宗がそれぞれ勅諭を公布した。

大韓帝国皇帝純宗が公布した勅諭には、
「ー略ー
故に朕是に於いて瞿然として内に省み廊然として、自ら断じ、茲に
韓国の統治権従前より親信依り仰したる、隣国大日本皇帝陛下に譲与し外東洋の平和を強固ならしめ、内八域の民生を保全ならしめんとす。
惟爾大小臣民は、国勢と時宣を深察し、煩擾するなく各其業に安じ、日本帝国の文明の新政に服従し、幸福を享受せよ。
朕が今日の此の挙は、爾有衆を忘れたるにあらず、専ら爾有衆を救い活かせんとする至意に出づ、爾臣民は朕の此の意を克つく体せよ。」(邦訳)

とある。




(3) 韓国側の対応によっては、日韓関係が大きく悪化する恐れ(虞)がある。 :
「恐れ」は、恐れること。
「虞」は、悪いことが起こることに対する懸念。いやな事が起こるのではないかという心配。
〜という意味なので、「恐れ」ではなく「虞」を使うべきだろう。
同じような使い方で、「順守」も「遵守」とするべきと考える。

それはともかく、誰が虞ているのかが書かれていない。




(4) 日本政府は徴用工問題は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」との立場。 :
日本が大東亜戦争に敗戦した後、韓国はサンフランシスコ条約の当事国に含まれなかったため国交は成立しないままとなっていた。

1952年のサンフランシスコ条約の発効直前に、韓国は一方的に李承晩ラインを宣言し竹島を占領するなど日韓両国の関係が悪化した。

のちに、クーデターによって政権についた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領は、日米など諸外国との関係改善を急ぎ、65年には「日韓基本条約」が締結された。

これに付随して「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力にする日本国と大韓民国との間の協定」も結ばれた。

この協定は、日本が韓国に対して無償3億ドル、有償2億ドルを供与することなどで、両国及びその国民の間の請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」と確認する内容である。

したがって、戦時中などに生じた事由に基づく請求権は、いかなる主張もすることができない。

また、この協定に関する紛争があれば外交経路で解決するものとし、解決出来ない時は第三国を交えた仲裁委員会に付託することになる。

韓国政府は条約内容を長らく国民に明らかにしていなかったが、2009年には徴用工の未払い賃金等もこれに含まれていたと公式に弁明。

韓国では、国民が受け取るべき補償を、韓国政府が一括で受け取り費やしたとの批判もある。

ー出典(朝日新聞出版発行「知恵蔵」)

 

両国の全権委員

日本国外務大臣 椎名悦三郎
高杉 晋一
大韓民国外務部長官 李 東元
大韓民国特命全権大使 金 東祚

は、1965年6月22日に東京でこの協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力にする日本国と大韓民国との間の協定)に署名した。




(5) 日本の不法な植民地支配 :
韓国併合ニ関スル条約」は、明治43年(1910)8月22日に寺内正毅統監と李完用総理が調印し、29日に明治天皇大韓帝国皇帝純宗がそれぞれ勅諭を公布したものである。

大韓帝国皇帝純宗が公布した勅諭には、
「韓国の統治権を大日本皇帝陛下に譲与し」とあり、韓国の最高裁が「日本の
不法な植民地支配」と判決文に記したことに言葉を失う。



(6) 影響は必至だ :
三菱重工不二越など日本企業約70社を相手取った14件の訴訟についても影響を及ぼし、賠償を命じる判決が出る虞がある、ーと記者が思っているのか、新聞社が思っているのか主体がはっきりしないが、悪いことになりそうだと読者に思わせている。



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