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190501 賠償命令確定半年 「徴用工」対応策 示せぬ韓国 

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’19/05/01付北海道新聞朝刊9面の記事

賠償命令確定半年
「徴用工」対応策 示せぬ韓国


【ソウル幸坂 浩】韓国最高裁が日本企業に元徴用工や元女子勤労挺身隊員らへの賠償を命じる確定判決を始めて出してから、30日で半年がたった。

日本政府は「問題は解決済み」として判決に反発し、日韓請求権協定に基づく協議を韓国政府に要請。

韓国も独自の対応策の検討も続けるが、結論は示されず、事態打開の糸口は見えない。

原告側は日本企業の資産を差し押さえたものの、売却には踏み切っておらず、韓国政府に適切な役割を果たすよう求める声も上がっている。




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内政問題響き、原告いら立ち

「被害者の高齢を考慮すると(資産の)現金化を遅らせる限界に来ている。このことを日本企業だけでなく、韓国と日本の両政府も明確に認知すべきだ」。

日本製鉄(旧新日鉄住金)などを相手取った訴訟の原告は3月末に声明を出し、日本側の責任を追及するだけでなく、事態打開に向けた動きが見えない韓国政府への不満も表明した。

4月29日には元徴用工らが日本企業9社を新たに提訴したが、原告側は記者会見で、元徴用工に対する未払い賃金などについて「韓国政府が解決してほしい」と求めた。

一連の原告団の中には日韓両政府が請求権協定に基づく協議の開始で合意するなら、被告企業の資産売却は留保できるとの考えを示した弁護士もいる。

原告側が差し押さえた資産を売却しない背景には、日本政府が日本企業に実害が出た場合にはビザの発給停止などで報復すると示唆していることがある。

報復措置が発動されれば、双方の経済に大きな影響が出るのは必至だ。

にもかかわらず文在寅政権が明確な方針を打ち出さないのは、一連の訴訟には内政問題の側面があるためだ。




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韓国政府も以前は、1965年に結んだ日韓請求権協定に基づき、被害者を救済する「道義的な責任」は韓国側にあると判断していた。

だが、文政権関係者は「最高裁判決が出たことで状況が変わった。司法判断は尊重せざるを得ない」と話す。

文政権が対日関係より国内の保守勢力との対決を重視していることも、問題を複雑化させている。

韓国国内では前最高裁長官が、元徴用江蘇省の確定判決を前朴槿恵政権の意向で遅らせた容疑などで逮捕されたが、文氏は1月の記者会見で「状況が整理されるのを見守り、判断しなければならない」と指摘。

こうした内政問題が片付く前に日韓関係の対応策を示すのは難しいとの認識だ。

日韓双方が姿勢を変えない中、文氏は6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合に出席する意向を示してるが、日韓首脳会談が開かれるかは不透明。

交渉の進展は望み薄で、今後、しびれを切らした原告側が日本企業の資産売却に踏み切れば、日韓関係がさらに泥沼化する可能性もある。




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