’19/08/04付北海道新聞朝刊2面の記事
米「日韓双方に責任」
軍事情報協定破棄「自制を」
【ワシントン、パンコク共同】米国務省当局者は2日、共同通信の取材に対し、激化する日韓対立について「双方が関係改善に責任がある」と述べ、両国に修復への努力を促した。
また米国務省高官は同日、パンコクで記者団の取材に応じ、日韓の軍事情報包括保護協定（GSOMIA）について、破棄されれば「米国の安全保障上の利益も危険にさらされる」と日韓両政府に自制を求めた。
米国務省当局者は「ここ数カ月間に２国間の信頼を傷つけた政治的決断には反省が必要だ」としたほか、「日韓関係が悪化すれば、双方が結果に苦しむことになる」と強調。
対立解消に向けて日韓へ働きかけ続ける考えを示した。
さらに、北朝鮮が短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返して再び緊張を高める動きを見せていることを念頭に「北朝鮮の脅威など地域の問題を抱える中、日米韓3カ国の強固で緊密な関係の維持は重要だ」と指適。
「緊張が日韓の経済、安全保障上の関係を損なわないよう慎重な対応が求められる」と訴えた。
日韓の軍事情報包括保護協定は、今月下旬に更新の可否を判断する期限を迎える。
韓国では日本の輸出規制強化に対抗し、同協定の破棄をちらつかせる発言が出ている。
協定が破棄されれば、米同盟国の日韓の間で軍事上の機密情報を共有することができなくなる。
韓国、国際会議で非難
輸出規制強化 日本は反発
【北京、ソウル共同】日中韓や東南アジア諸国連合（ASEAN）などが参加する東アジア地域包括的経済連携（RCEP）の閣僚会合が3日、北京で開かれた。
会合の場で韓国側が日本の輸出規制強化を非難したのに対し、出席した世耕弘成経済産業相は輸出規制とRCEPは無関係だとして「大変遺憾だ」と反発した。
RCEP交渉参加16カ国は会合後、共同声明で年内妥結を目指すと改めて表明したが、日韓対立が交渉に影を落としそうだ。
韓国メディアによると、韓国産業通商資源省の兪明希通商交渉本部長は閣僚会合で、日本の輸出規制強化は自由貿易を追求するRCEPの基本精神に逆行しているなどと主張。
韓国を「ホワイト国（優遇対象国）」から除外するなどした日本政府の輸出管理見直しを念頭に批判を展開した。
世耕氏は閣僚会合後に記者会見し、韓国側の発言に対して遺憾の意を表明したことを明らかにした。
世耕氏は会合にあわせ、中国やオーストラリアなどと2国間協議を実施したが、韓国とは行わなかったという。
16カ国の共同声明は、今回はサービス分野などで交渉に進展があったと強調。
だが、妥結は日韓を含め各国が個別に関税交渉をまとめることが条件で、日韓関係悪化が妨げになる虞がある。
中国の胡春華副首相は閣僚会合の開幕あいさつで「年内妥結に向け、お互い配慮する努力が必要だ」と訴え、名指しは避けながら日韓問題が交渉を停滞させることに危機感を表明した。
交渉はすでに80％のテーマで合意が得られており「大詰めだ」としたが、年内妥結は「相当厳しい」との認識を示した。
190804 米「日韓双方に責任」 軍事情報協定破棄「自制を」
