140413の新聞記事抜粋
教科書採択で揺れる沖縄・竹富町
小さな島に大きな圧力
「政権の意図ありあり」
大小16の島々からなる人口約4千人の町の教育現場は、安倍政権の「政治介入」に揺れていた。
保守色の強い中学公民教科書の使用を拒否し、文部科学省から是正要求を受けた沖縄県竹富町。
町は単独での教科書採択を目指すが、国は近隣3市町合同の地区協議会で決めたものと異なる教科書を使うことは「違法」との立場を崩さない。
「弱い者いじめ」「納得がいかない」。
小さな離島には怒りと困惑が広がっていた。(東京報道 則定隆史)
竹富、与那国両町と石垣市でつくる八重山採択地区協議会は2011年、保守色の強い育鵬社版の公民教科書の使用を多数決で決めたが、竹富町教育委員会は事前調査した教員の評価が低いとして拒否。
12年度から3年連続で東京書籍版を生徒に配布してきた。
町教委の判断の決め手は、育鵬社版には沖縄の在日米軍基地に関する記述が少なく、平和主義や自衛隊などの項目で保守色の強い記述が目立つことだ。
東京書籍版は、広く他の自治体でも使われており、竹富島の赤瓦の民家を日本文化として紹介していることなども評価された。
安倍政権は採択地区で統一した教科書を使うよう定めた教科書無償措置法に違反するとして、竹富町を強く批判。
町側は「地方教育行政法は教科書を選ぶ権限は教育委員会にあると規定している」と反論したが、下村博文文科相は3月、「違法状態を解消するは当然」と異例の是正要求を出し、育鵬社版への変更を強く迫った。
同町の慶田盛安三教育長(73)は「民主党政権時代は町教委の採択を認め独自の教科書配布も禁じていなかった。
政権が変わると違法になるのはおかしい。
許されない政治介入が」と憤る。
中学3年生の孫を持つ民宿経営山下賀与子さん(64)は「子供たちが教科書をどう思うのかが一番大事。
戦争の歴史がある沖縄の子供たちには偏った考えを押しつけず、広い視点を持ってほしい」という。
教科書採択時に町教育委員長だった竹盛洋一さん(61)は、こう漏らす。
「是正要求は、教育を変えようとする安倍政権の意図がありありと見える。怖さすら感じる」