’16/09/22の新聞記事
もんじゅ廃炉確実 高速炉開発で新会議設置
政府は、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」について再稼動には約5800億円の追加投資が必要と見込まれ、国民の理解は得られないと判断した。
政府は、もんじゅに代わる高速炉の方向性を官民で協議する「高速炉開発会議(仮称)」を設置し、年内に将来的な目標を明確にする方針。
もんじゅには1兆円以上の国費が投じられたが、運転実績はほとんどない。
安全管理上の問題が相次ぎ、原子力規制委員会が所管の文部科学相に運営主体の変更を求めていたが,具体策の調整が長引き、体制刷新は困難な情勢となった。
廃炉の場合でも約3千億円の経費が必要との試算もあり、国民負担の増大は避けられない。
費用対効果の観点から政府内で廃炉論が強まっている。
もんじゅは原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを取り出し、燃料として使う核燃料サイクルの象徴的な研究施設。
ーと、結んでいる。
【参考】
「もんじゅの事故」
’91/05/18 試運転開始
’92/12 性能試験開始
’95/12/08 二次冷却系温度計破損によりナトリウム漏洩火災事故発生
’07/08/31 原子炉確認試験開始
’10/05/06 運転再開(停止後14年5ヶ月ぶり)・放射性ガス検知器誤作動
’10/08/26 燃料交換時に燃料を仮置きする金属製の筒(炉内中継装置)をつり上げ作業中に原子炉内に落下させたー長期運転休止
’11/06/23 中継装置引き抜き作業開始
’11/06/24 中継装置引き抜き完了
’12/08/08 中継装置落下にかかる復旧完了
’12/11 保安規定に基づく機器点検漏れ判明
’14/09 ナトリウム漏洩事故後設置し’07運用開始した監視カメラ180基中50基あまり故障放置判明
「冷却系、燃料交換系、機器点検漏れ、監視カメラ故障は高速増殖炉そのものの事故ではない。
これまでの短い試験運転により得られたデータは非常に少ない。
もんじゅは商用原子炉ではなく研究用原子炉であり、もんじゅでの事故不具合を克服して安全で経済性のある商用原子炉に反映させるものである。」という捉え方がある。
’16/10/10 追加
「夢の原子炉」が実際に動いたのは、核分裂が連続する臨界に達して以降、22年間で250日、そのうち発電したのは44日にとどまる。(’16/10/05朝刊)