’19/01/22付北海道新聞朝刊1面の記事
レーダー照射 協議打ち切り
防衛省「真実究明は困難」
防衛省は21日、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題を巡り「最終見解」を発表し、日韓の防衛当局間の実務者協議を事実上、打ち切る方針を表明した。
主張の隔たりの大きさから韓国との協議の継続は「もはや困難」とした。
哨戒機が探知したレーダーの電波を音に変換した記録も新たな証拠として公開したが、韓国側は「深い遺憾の意」を表明し反発した。
最終見解・探知音を公開
最終見解では、客観的に事実を認定するには両国がデータを出し合って検証することが必要だが「(韓国に)提案したが受け入れられなかった」とした上で「韓国側が事実と異なる主張を繰り返している」と結論づけた。
これまで2回開かれた日韓当局間の実務者協議でも議論はかみ合わず、非難合戦の様相も帯びたことから「協議を継続しても真実の究明に至らないと考えられ、協議を韓国側と続けることはもはや困難」と打ち切る考えを示した。
一方で、北朝鮮の核・ミサイル問題や中国による海洋進出を念頭に、日韓・日米韓の防衛協力を重要視する姿勢も強調。
「本公表が再発防止につながることを期待し、日韓・日米韓の防衛協力の継続に努力していく」とし、問題をこれ以上長引かせたくない日本政府の意向をにじませた。
公開した音は、哨戒機が収集した18秒間で、一定の大きさで金属性の音が鳴り続ける。
防衛省担当者は「火器管制レーダー特有の性質を示している」として韓国側に改めて抗議するとともに、照射の事実認定と再発防止の徹底を求めた。
哨戒機と韓国軍駆逐艦の位置関係を示した図も初めて公開。
最も接近したのは哨戒機が駆逐艦の真横を通過した時で高度約150メートル、距離500メートル。
2018年度に3回、同程度の高度、距離で韓国軍の当該駆逐艦に近づいた際は「韓国側から問題提起を受けたことはない」とした。
韓国国防省報道官は21日、日本側が協議の打ち切りを表明したことに「深い遺憾」を表明。
日本側が公表した音声は「探知日時、方角、電波の特性などが確認されておらず、実体の分からない機械音だ」と指摘した。 (佐藤木郎、ソウル 幸坂浩)
190122 レーダー照射 協議打ち切り 防衛省「真実究明は困難」