190814 日本輸出規制強化 文氏「経済報復」再び非難

’19/08/14付北海道新聞朝刊８面の記事

日本輸出規制強化
文氏「経済報復」再び非難
あす光復節 演説先取り


【ソウル幸坂浩】韓国の文在寅大統領は12日の首席補佐官会議で、日本政府による輸出規制強化を元徴用工訴訟に対する「経済報復」だと改めて非難した一方で、日韓両国民の「友好関係」を傷つけてはいけないとの認識も示した。
日韓の葛藤を深刻化させれば実利を損なうと判断し、発言を調整したとみられる。





両国民の友好にも言及

文氏は「両国国民が成熟した市民意識を基に意思疎通し、人類愛と平和で友情を固めれば韓日関係の未来はさらに明るくなる」と主張し、「経済報復に対する私たちの対応は感情的であってはいけない」とも述べた。

7月に日本政府が韓国への輸出規制強化を発表してからは「盗人たけだけしい」などと強く批判してきたが、発言のトーンを修正した格好だ。





韓国紙の中央日報は13日、韓国大統領府関係者の話として、文氏の発言は、日本植民地支配からの解放記念日である15日の「光復節」に行う演説を先取りした内容だと報じ、15日も穏当な表現をとるとの見方を示した。

過度に「反日」と受け取られる姿勢をとれば、日本政府がさらなる対抗措置を取り、韓国経済に打撃となるとの懸念があるほか、米国も日韓対立の激化を好ましくないとみていることが影響しているようだ。

もともと文氏は「反日」一辺倒ではない。
一昨年の光復節には、元徴用工問題などを解決するには「日本の指導者の勇気ある姿勢が必要だ」と演説したが、昨年は日韓関係の「未来志向」を強調する内容で歴史問題には触れなかった。





演説では北朝鮮問題の扱いも注目される。
北朝鮮は7月下旬以降、米韓合同軍事演習を理由に、短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返し、韓国側と接触を経つことも示唆している。
南北対話を望む文氏は、北朝鮮にどんなメッセージを出すのか、ぎりぎりまで頭を悩ませることになりそうだ。