191001 「嫌韓」と「反日」実は非対称
'19/10/01付北海道新聞朝刊7面の記事
「嫌韓」と「反日」実は非対称 ソウル 幸坂 浩
最近、日本の知人から「韓国の生活は大丈夫か」と聞かれることが増えた。
知人は、日韓関係の悪化で在韓邦人が危険な目に遭っていないか心配してくれている。
だが、生活実感として、安全面で特に変化があったとは思わない。
もちろん海外である以上、身の安全には常に注意するべきだ。
不買運動の影響で近所のコンビニから日本メーカーのビールが消えるなど、日韓関係の悪化を実感することも多い。
それでも日本人であることを理由に不当な扱いを受けたことはない。
日本では以前から、在日韓国・朝鮮人に対し、「国へ帰れ」「死ね」といった差別的な言葉を浴びせるヘイトスピーチ(差別煽動表現)が社会問題となっている。
だが、韓国で、ちょうど反対の社会問題があるかというと、聞いたことがない。
日本政府を糾弾する集会はよく見かけるものの、日本人そのものを否定する内容ではない。
例えば、日韓間で最大の懸案となっている元徴用工訴訟についても、元は日本側の弁護士が始めた訴訟であることが韓国の運動団体では認知されており、日本全体を批判する運動にはなっていない。
日本には「嫌韓」、韓国には「反日」の考え方があるのは事実だ。
ただ、それは、鏡で映したように対照的な関係ではない。
その実態に目を凝らしたい。