'20/06/04付北海道新聞朝刊1面の記事
日鉄資産 8月以降売却へ
徴用工問題 韓国地裁 手続開始
【ソウル上家敬史】韓国最高裁が日本製鉄(旧新日鉄住金)に賠償を命じた元徴用工訴訟問題で、韓国裁判所が8月4日以降、原告が差し押さえた同社資産の売却命令決定を下す見通しとなった。
韓国の公共放送KBSは「強制売却の手続きが秒読みに入った」と報道。
韓国政府に資産の現金化を回避するよう重ねて要求してきた日本政府は警戒感を強めている。
韓国裁判所は国際法に従い、政府間ルートで資産売却手続きの書類を日本製鉄に送付したが、日本外務省は日本製鉄に転送せずに韓国側に返送。
このため韓国の大邱地裁浦項支部は今月1日、「公示送達」の手続きを開始した。
公示送達は相手に書類が届かなくても、裁判所のウェブサイトなどで書類を一定期間公示することで当事者に伝達したとみなせる手続き。
今回の公示期間は8月4日午前0時までで、これを過ぎると裁判所は売却命令決定を下すことが可能になる。
裁判所は既に資産の鑑定手続きに着手。
韓国メディアによると、売却命令後、同社の資産が売れれば、即座に元徴用工らに賠償金が支払われる。
元徴用工訴訟を巡っては、機械メーカー・不二越や三菱重工業の資産売却も申請されており、韓国裁判所が今後、両社についても同様の手続きを取る可能性がある。
日本政府は日本企業に実害が生じれば報復措置を講じる方針を示してきた。
半導体材料の対韓輸出規制強化と同様に韓国経済への打撃が大きい措置となる見通しで、茂木敏充外相は3日夜のBS番組で「現金化が行われたら深刻な事態になる。その前に問題を解決しなくてはならない」と韓国側を牽制した。
200604 日鉄資産 8月以降売却へ 徴用工問題 韓国地裁 手続開始