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201122 中国の「領海」に海自艦  政府、16年計画 実施は見送り

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'20/11/22付北海道新聞朝刊5面の記事

中国の「領海」に海自艦
政府、16年計画 実施は見送り


中国の軍艦や海警局艦船による日本の領海侵犯への対抗措置として、日本政府内で2016年、中国が南シナ海の人工島周辺で「領海」と主張する海域を、海上自衛隊の艦船に通過させる作戦計画が浮上していたことが21日、分かった。
米国が展開する「航行の自由」作戦の日本版。
ただ当時の安倍晋三政権中枢が、中国の反発で関係が極度に悪化する懸念があると判断し実施を見送った。
関係筋が明らかにした。




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中国の習近平指導部は近年、領有権主張で攻勢を強化。
日本側は深刻な事態に発展しないよう慎重対応に終始しているが、領海侵犯には強い対抗措置も取る備えをしていたことが判明した。
24日に来日する中国の王毅国務委員兼外相に対し、菅義偉首相らが会談でどこまで踏み込んで沖縄県尖閣諸島周辺での活動中止を求めるかが注目される。




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中国海軍艦は16年6月9日、初めて尖閣周辺の接続水域に入り、領海へ向けても航行。
同月15日には別の中国海軍艦が鹿児島県・口永良部島の日本領海に侵入した。
日本政府は中国側の行動は「ステージが一段階上がった」(自衛隊幹部)と判断。
外交・安全保障政策の総合調整を担う国家安全保障局(NSS)で、中国公船の尖閣領海侵入も含む一連の行動への対抗措置の検討を始めた。




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防衛省海上幕僚監部などが中心となり選択肢の一つとして、中国が南シナ海で大規模に埋め立てて造成した人工島周辺に主張している「領海」を、海自艦に通過させる計画を作成した。
日本はアフリカ東部ソマリア沖での海賊対処に海自艦を派遣しており、現地への往復時に作戦を実施する一方、中国を過度に刺激しないよう非公表の方向で検討。
中国側は探知可能なため、水面下で日本のメッセージを伝えられると分析した。




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しかし当時、政府は習国家主席の初来日も視野に日中関係を改善させる方向で外交を進めていたことから、最終的に実施を見送った。
関係筋は計画について「中国は隙を見せると突いてくるので、あらゆる対応の検討が不可欠だ」と話している。



210123-201122 5面中国領海に海自艦