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201225 安倍氏不起訴 喚問に応じるのが筋だ

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’20/12/25付北海道新聞朝刊7面社説

安倍氏不起訴 喚問に応じるのが筋だ

安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用補填問題で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載)などの容疑で告発された安倍氏を嫌疑不十分で不起訴とした。

一方、後援会代表の公設第一秘書を同法違反(同)の罪で略式起訴した。

安倍氏は昨年11月に問題が発覚して以降、国会で費用の穴埋めを重ねて否定してきた。

行政府のトップが国会で事実と異なる答弁を繰り返し、国権の最高機関である立法府の存在意義をおとしめた責任は極めて重い。




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検察の処分は軽過ぎると受け止めた国民は多いだろう。

安倍氏はきょう衆参両院の議院運営委員会に出席するが、通り一遍の説明では到底済まされない。

偽証した場合に罰則が科せられる証人喚問で野党の質問に答え、真相を明らかにするのが筋だ。

起訴状によると、秘書は後援会の2016〜19年分の収支報告書に夕食会費用の補填に絡む収入と支出の計約3022万円を記載しなかった。

特捜部は不起訴の理由について、安倍氏が不記載を認識していた証拠がないと説明する。

元特捜部検事の郷原信郎氏は、法令違反に問われる対象が報告書への記載義務のある会計責任者らに限定されない虚偽記入罪を適用すべきだと指摘している。




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こうした点も含めて、本当に捜査を尽くしたか疑問が残る。
秘書についても裁判が行われない略式起訴ではなく、裁判で真実に迫る審理をすべきではなかったか。

夕食会を巡る国会審議で、安倍氏が「明細書はない」などと事実と異なるとみられる答弁を少なくとも118回していたことが、衆院調査局の調べで分かっている。

安倍氏はきのう国会内で記者会見し「私が知らない中で行われたとはいえ、道義的責任を痛感する」と語った。

事の重大性に鑑みれば、資金の収支について自ら徹底調査するのが当然ではなかったか。

会見で述べた「首相の職務に専念していたため、夕食会の運営に関与していない」という言い訳は通用しない。




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桜を見る会に関しては、安倍氏の支持者のために私物化したと批判され、巨額の消費者被害を生んだジャパンライフの元会長が首相の推薦枠で招待された経緯もいまだに明らかになっていない。

安倍氏は、こうした疑惑も含めて真実を語らなければならない。



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