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210616 日本政府の資産開示命令  元慰安婦訴訟で韓国地裁決定

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’21/06/16付北海道新聞朝刊2面の記事

日本政府の資産開示命令
 元慰安婦訴訟で韓国地裁決定


 【ソウル上家敬史】日本政府に元従軍慰安婦や遺族ら12人への賠償を命じた今年1月のソウル中央地裁の確定判決を巡り、同地裁は日本政府に韓国内にある資産のリストを開示するよう命じる決定を下した。
日本政府は国家が他国の裁判権に服さないとする国際法上の原則「主権免除」を理由に賠償を拒んでおり、原告側は差し押さえ可能な資産を探すため、地裁に開示を申請していた。

 決定は9日付。
原告側弁護士が15日、明らかにした。
地裁はリストの形式や開示期限を別途指示するとしているが、日本政府は主権免除を理由に開示に応じないとみられる。




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 地裁は決定で「人権に対する重大な侵害行為に対して主権免除を認めると、国際社会の共同の利益が脅かされる」と判断。
原告側が日本政府の資産差し押さえを求めることは「(主権免除の)例外に相当する」と結論付けた。
決定は日本政府の資産差し押さえがもたらす外交上の影響にも言及したが、「対日関係の悪化、経済報復などの国家間緊張発生問題は外交権を管轄する行政府の領域」だとし、地裁が考慮すべき事項ではないとの見解を示した。

 地裁は3月、訴訟費用を確保する目的の日本の資産差し押さえは「国際法に違反する恐れがある」として認めない決定を出していたが、今回は別の裁判官が正反対の判断を下した。




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 日本政府に賠償を求めた一連の慰安婦訴訟では「主権免除」の適否が焦点となった。
1月の確定判決では故人を含む12人の女性に、請求通り一人当たり1億ウォン(約980万円)の支払いを命じたが、同種訴訟の4月のソウル中央地裁判決では原告の訴えが却下され、司法判断が割れた。

裁判官によって異なる解釈が示される事態が今後も続けば、歴史問題で司法判断を尊重する姿勢を堅持してきた文在寅政権の対日外交にも影響が及ぶ可能性がある。


210930-210616 2面日本政府資産開示命令