Cameraと散歩

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231102 ヤッ!フォート第26回写真展

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ヤッ!フォート第26回写真展
 北国「四季折々の詩」
 日時 2023年11月1日〜11月8日 9時30分から19時
    8日は17時まで
 休館日 11月6日
 会場 恵庭市 図書館本館2F
        恵み野西5-10-2
 出展者 鈴木洋子 古田冨美子 松崎征弘
 特別出展者 三浦 昇



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231115 北海道似湾編 似湾沢9の6

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履 歴 稿    紫 影子  

北海道似湾編
  似湾沢 9の6


 私達が渡船場に着いた時には、渡守の家の灯は消えて居て、既に寝静まって居た。

 「オイ保、お前オヤンヂ(愛奴の大人を和人はそう呼んだ)を起こせよ」と浩治少年に言われた保君は、戸閉りはして無かったので、簡単に玄関を這入って「オヤンヂ」と一声叫 ぶと、そのオヤンヂの渡守は早速起きてきてくれた。

 その時の渡守は、五十五、六歳の合愛奴であったが、その渡守隣が灯した二分芯洋燈の明りに、肩までの総髪は白く光って居た。

「何だお前達か、随分遅かったなぁ。俺はな、お前達が沢の奥さ行って熊に殺られたのでは無いかと心配して居たんだぞ、そしてよ、若しお前達が朝まで帰ってこなければ、お前達の家さ知らせに行こうと思っていたんだぞ。」と言って、早々に私達を向岸へ渡してくれた。




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 私達が神社の前から右に曲がって、浩治少年の家に近づいた時に提灯の灯が三つ学校の坂を降りて来るのが見えた。
 「オイ、あの提灯は屹度俺達を迎えに来た提灯だぞ。あまり遅くなったんだから、俺達は皆叱られるぞ、でも仕方ないもんなぁ、俺達はあまり釣りに夢中になり過ぎたもんなぁ、だから皆で謝るべよ。」と浩治少年が言い終わったかと思うと、「浩治」と提灯の一つが大噶をした。

 その大噶に吃驚をした私が、その提灯の人を見ると、その人は浩治少年のお母さんであった。
 その時、浩治少年がおどおどした声で「ウン」と返辞をすると、「この馬鹿者、今何時だと思って居るんだ、似湾沢と言う所はお前が一番良く知って居る癖になんだ。」とお母さんはきつく浩治少年を叱った。




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 この三つの提灯は、浩治少年のお母さんと、兄さんの閑一さんと言って私の家の前にある郵便局の事務員をして居た人と、私の父であった。
 私の父や、浩治少年のお母さん、そして兄さんと言う三人が、提灯を提げて学校の坂を降って来た原因は、あまりにも私達の帰りが遅いので浩治少年のお母さんが、当時二十歳と言う若さであった閑一さんが起居をして居た郵便局の宿直室へ行って、既に寝て居た閑一さんを呼び起してから、私達四人が似湾沢へヤマベ釣に行って未だ帰らないのだが、途中で何か間違いが起きたのではなかろうかと、相談に行ったのだそうであった。




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 すると、その時の閑一さんが、「何、未だ帰って来ないって。」と言って、枕もとの時計を見ると時計の針が既に午前の零時を少少過ぎて居たので、「お母さん、こりゃ大変なことになったよ、似湾沢の奥へ行くと、熊が棲んで居て沢へは時々出てくるんだそうだからなぁ。兎も角俺はこれから迎えに行ってくる。」と言って、早速曲備付の提灯を点して素足で飛び出したのだそうであった。



230924 中国経済の変調  西側 支援から制限にカジ

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'23/09/24の朝刊記事から

中国経済の変調

 西側 支援から制限にカジ
                リチャード・ハース 米外交問題評議会名誉会長


 中国経済は最近まで、まさに驚くべき状況だった。
1992年には5000億ドルに満たなかった国内総生産(GDP)は、2022年には18兆ドルへと飛躍的に増えた。
毎年のように2桁成長が続き、400ドル足らずだった一人当たりのGDPも、1万3,000ドルまで押し上げられた。

 しかしここ数年、成長の速度は目に見えて落ちた。
これはある程度、避けられないことだった。
非効率な地方農業に従事する何億人もの人々を、生産性の高い都会の工場労働者に移し替えることは、一度しかできないからだ。




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 成長の途上で中国は、米国を始めとする先進国から支援を受けた。
各国は投資や融資を行い、技術を移転し、世界貿易機関(WTO)に中国を迎え入れた。
さらに、中国による知的財産の盗用やWTO協定違反、自国経済の重要な部門への外資参入を阻んでいることにも、見て見ぬふりをしがちであった。

 西側諸国がこのように対応した動機の一つは、単なる経済的な計算だった。
何しろ、人口14億人という消費者市場への参入が約束されているのだから。

 一般的には、中国が豊かになれば国民は西側からより多くの物を買うことができるようになる。
中国の低い労働コストのおかげで、多国籍企業はより安くモノを生産して売れるようになった。
インフレを抑えながら消費者により多く購入させることができた。




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 西側には経済の論理以外に、政治的な思惑もあった。
米国と欧州が願い、あるいは期待したのは、中国が経済成長すれば政治面で自由化が進むことだった。
多くの人は、中国が豊かになればなるほど開放的で民主的、市場志向型になっていくと思い描いていた。

 また、中国が投資や貿易から大きな恩恵を受けるようになれば、成長の要因である各国との良好な関係を維持するため、対外行動を慎むようになると考えた。
既存の国際秩序から最も恩恵を受ける中国は「責任あるステークホルダー(利害関係者)」となり、秩序を乱そうとはしなくなると期待されていた。




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 時間がたち、こうした期待はついえた。
西側では安い中国製品に国産品が駆逐され、雇用も失われた。
中国は内外で開放的にも穏健にもならなかった。
起きたのはまさに正反対のことである。
その結果、米国や他の西側諸国は、中国に対する技術・製品の供給や、企業の対中投資の認可を制限するようになった。




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攻撃的な選択肢 許すな

 西側諸国が中国に加えた様々な制限も、中国経済が減速する要因になった。
しかし、主たる要因は中国国内にある。
中国経済の困難は「メイド・イン・チャイナ」なのだ。

 中国経済が過剰に依存してきたのは、ますます非生産的になった投資(特にインフラ部門)と輸出であり、大きくなりすぎて競争力のない国有企業であり、膨れあがる負債である。
どの問題も全部または一部は、国家の経済的役割を拡張するという中国指導部の決断が原因だ。
市場の力は無視あるいは抑圧し、民間部門や中間層による台頭も妨害するやり方だった。

 中国の指導者たちの前には三つの選択肢がある。

一つは、このまま政治による経済成長のコントロールを続けることだ。
これで現在の苦境が和らぐようなら、最もあり得る道である。
だが、問題が長引くか悪化するようなら、経済の低成長が長期化し、政治によるコントロールそのものへの風当たりも強まるだろう。
指導部はこうした展開を避けようとしている。

 若者の高失業率は火種となる。
さらに悪いことに、時間は中国の味方をしてくれない。
人口減と高齢化が経済成長と生産性をさらに引き下げるからだ。




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 習近平国家主席と側近たちの第二の選択肢は、進路変更だ。
中国指導部は政策を変えることに抵抗しがちだ。
誤りを認めたと解釈されれば、弱さをさらけ出したと受け取られ、政敵の台頭も招きかねないからだ。
指導部は今のところ、政策変更に抵抗を示すだろう。
大胆な経済の自由化を許せば、政治の自由化への圧力も生じかねない。

 とはいえ、現状より危険の小さい代替案があれば、指導部は進路変更に踏み切るだろう。
そうした計算が働いた例は最近もあった。
中国は、新型コロナウィルスの感染拡大が始まって以来もっぱら、頻繁な検査と大規模なロックダウン(都市封鎖)で対応し、民衆の不満が高まっていた。

 ところが、昨年12月に突然、政府は「ゼロコロナ」政策を放棄した。
死者は出たものの、数か月のうちに感染リスクは正常な活動が許容できるレベルになった。
経済政策も、何らかの非政治化が行われる日が来るかもしれない。




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 現状維持でも変更でもない第三の選択肢もある。
話題を経済からそらしてしまうことだ。
最も単純かつ起こり得るのは、台湾の現状変更に向けた動きの加速である。
中国は体制の正当性を示す根拠として、経済成長よりも、強硬なナショナリズムを掲げるようになる恐れがある。

 この道は、指導部にとって魅力的かもしれない。
経済政策の転換より困難ではなく、リスクも少ないと主張する者もいるだろう。
なぜなら、中国は地理的に有利な立場で、武力もかつてよりずっと強大だ。

 さらに、台湾とそれを擁護する国々は経済的に中国依存を高めている。
米国は政治的に分断状況にあるうえウクライナ支援で手いっぱいだ。
ウクライナに武器を提供しながら台湾で戦争を行えるだけの軍事力と生産基盤を欠いている。

 しかし、まさにウクライナで起きていることからわかるように、戦争は予測困難だ。
中国軍は、近年の実践経験が不足している。
米国内には台湾に対する超党派の支持がある。
制裁が科されれば中国経済もマヒしてしまうだろう。




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 ウクライナの戦争と中国の攻撃的な姿勢を目の当たりにし、日本と韓国、オーストラリア、そして米国では、防衛力向上と各国間の協調が進んでいる。

 「中国の夢」を変えることは不可能だが、計算に影響与えることはできる。
西側の目標は、中国の指導部を説得して、話題を経済からそらすやり方、つまり攻撃的になることは愚かな行為であり、現実的な選択肢は経済政策の現状維持か進路変更しかないと理解させることだ。

 確実に言えるのは、この選択が習氏のレガシー(政治的遺産)と中国の未来、そしてあるいは今世紀の歴史の進路までも決するものになるということだ。




リチャード・ハース氏
1951年生まれ。
国務省政策企画局長などを経て、政策研究機関「外交問題評議会」の会長を2003年から今年6月まで務めた。