’19/01/23付北海道新聞朝刊4面の記事
韓国、日本側見解に反論
レーダー照射なし「結論」
韓国国防省は22日、韓国海軍駆逐艦が海上自衛隊哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題をめぐって、防衛省が発表した「最終見解」に対する反論を公表した。
駆逐艦が火器管制レーダーを照射しなかったという「科学的な結論に達した」と主張し、むしろ哨戒機が「低空威嚇飛行」したと問題視している。
23日にスイス・ダボスで予定される外相会談を前に、日韓の溝の深さが改めて浮き彫りになった。
韓国国防省は、検証のために現場を再現する実験や乗組員への聞き取りなどを行ったとした上で、「わが艦艇から追跡レーダー(火器管制レーダー)は照射されなかった」と結論づけた。
日本側が公表したレーダーの電波を音に変換した記録については「実体の分からない機械音だ」と指摘。
「日本側が決定的な証拠を示さないまま実務協議を中断した」として、強い遺憾の意を表明した。
また、哨戒機が駆逐艦に対し高度150メートル、距離500メートルまで接近したことを問題視し、「日本側は必ず低空威嚇飛行を謝罪し、再発防止を約束すべきだ」と主張した。
駆逐艦が当時、哨戒機の呼びかけに応答しなかったことについては「海で最もよく起きる現象の一つが通信不良だ」と説明した。
日本側が最終見解の中で、韓国軍通信要員の適切な訓練などを求めたことに対して、一方的な要求だと反発した。
菅義偉官房長官は22日、韓国側の発表に先立つ記者会見で、レーダー照射を認めない姿勢を批判し「韓国側との協議継続は困難だ」と述べた。
(古田夏也、ソウル 幸坂浩)
日韓防衛協力 縮小可能性も 自民国防部会
自民党は22日、韓国海軍艦艇による自衛隊機への火器管制レーダー照射問題を巡り、国防部会の会合を党本部で開いた。
防衛省が日韓実務者協議を事実上打ち切ったのを受け、出席議員からは韓国との防衛協力の見直しを求める声や、韓国に対する制裁が必要だとの強硬論が相次いだ。
会合には岩屋毅防衛相も出席。
日韓防衛協力の意義を強調する一方で「タイミングや中身にもよる。適切に判断していきたい」と述べ、縮小の可能性に含みを残した。
出席者によると、韓国への制裁について、政府側は、元徴用工問題など両国間の他の懸案も踏まえつつ「政府全体として考えていく」と答えた。