’19/03/08付の北海道新聞朝刊2面の記事
三菱重工資産も差し押さえ申請 元徴用工訴訟
【ソウル幸坂浩】韓国最高裁が三菱重工業に対し元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員らへの賠償を命じた問題で、原告側支援団体は7日、同社資産の差し押さえ命令をソウル中央地裁へ申請した。
元徴用工訴訟で差し押さえが認められれば、新日鉄住金に次ぎ2例目となる。
日韓関係の一層の悪化は避けられない情勢だ。
支援団体によると今回申請したのは元勤労挺身隊員側で、差し押さえ対象は、三菱重工が韓国内で保有する商標権2件と特許権6件。
地裁が認めれば、同社は売却や譲渡ができなくなる。
資産を現金化するために必要な売却手続きは、同社に協議を促すため改めて申請するという。
元徴用工側も近く、差し押さえを申請する方針だ。
韓国最高裁は昨年11月、元徴用工の訴訟では1人当たり8千万ウォン(約800万円)、元勤労挺身隊員の訴訟では同1億〜1億2千万ウォンの賠償を同社に命じた。
原告側は1月、賠償方法などについて協議を求めたが、同社は期限の2月末までに回答しなかった。
新日鉄住金を相手取った別の訴訟でも、原告側による同社資産の差し押さえ申請が1月に認められた。
こちらも売却手続きはまだ申請されておらず、資産は現金化されていない。
「極めて深刻」 菅氏
菅義偉官房長官は7日の記者会見で、元徴用工訴訟の原告側支援団体が三菱重工業の資産差し押さえ命令を申請したことについて「極めて深刻な状況だ」と不快感を示した。
政府は1965年の日韓請求権協定で個人請求権問題は解決済みとの立場。
同協定に基づく2国間協議を求めており、菅氏は「韓国としては当然誠意を持って応じるべき問題だ」と重ねて要請した。(金子俊介)
190308 三菱重工資産も差し押さえ申請 元徴用工訴訟