’19/07/17付北海道新聞朝刊2面の記事
韓国 仲裁委開催応じず
徴用工 三菱重資産 原告側売却へ
韓国大統領府高官は16日、元徴用工訴訟を巡り、日本政府が要請している、第三国を介した仲裁委員会の開催に応じない考えを明らかにした。
日本政府による半導体材料の輸出規制強化で対日感情が悪化する中、韓国側は日本側が回答期限とする18日を前に立場を鮮明にした形で、日韓請求権協定に基づく紛争処理手続きは具体化しない可能性が高まってきた。
聯合ニュースによると、大統領府高官は韓国記者団に対し、第三国に人選を委ねる仲裁委の開催に応じないという結論が出たと説明した。
韓国はこれまでも、日韓両国の委員を含む仲裁委の開催を事実上拒否した経緯があり、どのような形であっても日本側の開催要求には応じないことを明確にした格好だ。
仲裁委開催に関し、菅義偉官房長官は16日の記者会見で「仲裁(委員会の開催)に応じるよう強く求めていく立場に変わりはない」と述べた。
日本政府は今後、国際司法裁判所(ICJ)へ提訴することを視野に入れているが、韓国が同意しなければ審理は行われないため、ハードルは高い。
一方、韓国最高裁で三菱重工業に勝訴した元徴用工らの代理人は16日、すでに差し押さえている同社資産の売却について、早急に裁判所へ申請すると発表した。
実際に申請すれば、別の原告団が5月に日本製鉄(旧新日鉄住金)などの資産売却を申請して以来となる。
手続きには一定の時間がかかるため、原告側は売却が完了するのは来年になる可能性があるとみている。
河野太郎外相は16日の閣議後会見で、「日本企業に実害が及ぶようなことがあれば、必要な措置を講じなければならない」と牽制した。 (仁科裕章、ソウル幸坂浩)
190717 韓国 仲裁委開催応じず 徴用工 三菱重資産 原告側売却へ