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150904 TPP問題 北大・東山寛先生に聞く

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’15/07/04の道新こども新聞 「週刊まなぶん」の記事から

TPP問題 北大・東山寛先生に聞く  農学部講師=専門は農業経済学)


農家減り町消える 国は約束守るべき

日本が「関税はなくさない』と主張していた、コメなど「重要な5品目」の農産物は、「聖域(ふれてはいけない神聖な場所)」とも呼ばれています。
これらの関税がなくなれば、日本にとって大問題だからです。
日本の食をささえる農業地帯・北海道も、もちろん大だげきを受けるでしょう。
中でもえいきょうが大きいのは、コメと牛肉です。


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コメは日本人の主食。
今、国内産のコメは5キロ2000円前後で買うことができます。
関税がなくなり、外国産のコメが日本で安く売られるようになると、消費者にとってはいいことのように思えますよね。
しかし、本当にそうでしょうか。


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もしも国内産のコメが余った場合、国は一定の量を買い上げ、災害などが起こった時に配る「備蓄米」にしようとしているようです。
数年たつと牛などのえさ用にとても安く売ります。


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しかし、「備蓄米」として買い上げる時に使うのは、国民がおさめる税金です。
外国産米を安く買えたからといって、私たちは損をしないと言えるのでしょうか。
さらに、今も日本は年間約77万トンものコメを海外から買っているのです。
TPP以前に定めた世界的な取り決めがあるからです。


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また、牛をあつかう農家はすでに苦しい状況にあります。
子牛の値段やえさ代が上がっていることから、あとをつぐ人が減り、高齢化が進んでいます。
オーストラリアやアメリカの安い牛肉も売られており、国産の牛肉よりそちらを選ぶ消費者もいます。


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こうした状況でTPPに加われば、ますます農家が減るでしょう。
北海道をはじめ地方の人口が減り、消えてしまう町があるかもしれません。


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日本がTPPの話し合いに参加することになった時、国会は今のまま関税を守るよう政府に求めました。
しかし政府は話し合いが進むにつれ、コメについて一定の量を、無税か低い関税で輸入しようと考えるようになりました。
牛肉も、今38.5%かけている関税を9%まで下げる案があるようです。


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重要な5品目を守るという国民との約束は、絶対に守られなくてはなりません。

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