'20/07/16付北海道新聞朝刊８面の記事
首長セクハラ 韓国与党直撃 来年4月 ソウル、釜山市長補選
大統領選に影響も
【ソウル上家敬史】韓国の二大都市、ソウルと釜山の市長を選ぶ補欠選挙が2021年4月に行われる。
朴元淳ソウル市長はセクハラ疑惑を抱えたまま急死、釜山市長だった呉巨敦氏もセクハラを認めて辞任しており、両氏が所属していた革新系与党「共に民主党」のイメージ悪化は避けられない情勢だ。
保守系野党は両補選を反転攻撃の好機とみており、結果は22年3月の大統領選の行方にも影響を与えそうだ。
共に民主党の李海瓚代表は15日の党会合で「国民に大きな失望を与え、行政の空白が生じたことへの責任を痛感する」と述べ、党の顔役の一人だった朴氏がセクハラ疑惑を残したまま、ソウル市内の山中で自殺したことを陳謝した。
疑惑解明を求める世論の高まりを受け、ソウル市は同日、女性団体や法律家らが参加する調査団を設置すると発表した。
弁護士出身の朴氏は1998年の韓国初のセクハラ訴訟で原告のソウル大女性助手の弁護人を務め、セクハラ行為の違法性を認める判決を勝ち取ったことで知られる。
それだけに韓国社会では女性を中心に失望感が広がっており、大統領府のサイトに掲載された請願では、55万人以上が市主催で朴氏の告別式を開催することに反対した。
共に民主党所属の首長によるセクハラ問題はこれにとどまらない。
忠清南道知事だった安煕正受刑者は18年に元秘書から性的暴行やセクハラ被害を告発され、懲役3年6カ月の刑が確定。
4月に女性公務員へのセクハラを認めて釜山市長を辞任した呉氏は今も強制わいせつの疑いで警察の取り調べを受けている。
共に民主党は近く党規を改正し、党内のセクハラ対策を強化する方針だが、どこまで負のイメージを払拭できるかは不透明。
党内では、逆風が予想される両補選への候補者擁立を見送るべきだとの声も出ている。
21年4月7日に行われる補選は20年3月17日〜21年3月8日まで の間、辞任などで国会議員や自治体首長に欠員が生じた地域が対象になる。
公選法違反などの罪に問われている共に民主党所属の李在明・京畿道知事が16日の最高裁判決で有罪となれば、「トリプル補選」が実施される。
ソウル、釜山、京畿道の有権者数は全国の半数に当たる2249万人に上り、韓国メディアは「大統領選の前哨戦の性格を帯びる」と分析。
最大野党・未来統合党の金鐘仁非常対策委員長は「大統領選に劣らない準備をしなければならない」と挙党態勢で臨む意向を示している。
200716 韓国与党直撃 来年4月 ソウル、釜山市長補選 大統領選に影響も
