’21/03/08付北海道新聞一面の記事から
海警法「国際法に合致」
中国外相 香港巡る批判牽制
【北京十亀敬介】中国の王毅国務委員兼外相は7日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)に合わせて記者会見し、中国海警局に武器使用を認めた海警法について「特定の国を対象としていない。国際法に完全に合致している」と正当化した。
香港の民主派を排除する選挙制度の見直しなどを巡る欧米などの批判には「香港は中国の一部だ」と述べ、取り合わない姿勢を示した。
海警法は中国が独自に主張する管轄海域で外国艦船に武器使用を可能とする内容で、国際法違反との指摘が出ている。
2月の施行後も中国は沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海への侵入を繰り返しているが、王氏は「友好的な協議を通じて海上紛争を処理するのが中国政府の一貫した立場だ」と説明。
海警法に類似した法規は日本を含む多くの国にあるとも主張した。
一方、対日関係について東京、北京の五輪開催で協力し合うことで「国民の友好的な感情を深め、関係発展を促す機会にできる」と述べた。
全人代では香港の選挙制度見直しが審議中で、中国政府に忠誠を誓う「愛国者」のみが立候補できる制度を整える方針だ。
中国は民主派を「反中勢力」とみなしており、王氏は「愛国者が香港を統治することは一国二制度を推進し、香港の長期的な安定を保つためには欠かせない」と主張。
「混乱から安定へ変わることが外国人投資家の利益を強固にする」とも話し、香港への進出企業が多い欧米諸国を牽制した。
バイデン米政権への対応については、気候変動問題などで協力可能とする一方、「根拠のない非難は絶対に受け入れず、核心的利益の侵害を許さない」と主張。
新疆ウイグル自治区での人権侵害や台湾問題を巡って米国が圧力を強める現状について「米国は民主や人権の旗を掲げて他国に内政干渉し、世界でトラブルを起こし、動乱の源になっている」と不快感を示した。
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