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200607 軍事研究に参加せず  国立天文台など9組織

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'20/06/07付北海道新聞朝刊22面の記事

軍事研究に参加せず
国立天文台など9組織


国立天文台(東京都三鷹市)など9つの研究組織でつくる自然科学研究機構が、軍事応用できる基礎研究に対し防衛省が助成する「安全保障技術研究推進制度」への不参加を決めたことが6日、分かった。

これまで機構内で議論され、財政難から参加容認を求める声も出ていた。

機構は「各組織に意見を聞いて審議した。所属の全組織の応募を認めない」と説明している

決定は4月23日。

国立天文台基礎生物学研究所生理学研究所分子科学研究所(いずれも愛知県岡崎市)と核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の5機関、アストロバイオロジーセンター(三鷹市)など4センターの9組織で適用される。




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同制度は2015年度に開始。

防衛省外局の防衛装備庁が研究課題を示し、大学や研究機関の応募を求める。

外部の専門家による審査を経て採択された大学などは研究資金を、防衛省側は最先端の研究成果を手に入れることができる。

望遠鏡に用いる高性能の赤外線検出器が軍事技術から生まれたとされるように宇宙、エネルギー、物質科学分野と軍事技術の親和性は高い。

防衛省は18年度公募で、遠い宇宙空間をゆがみなく観察する国立天文台の「すばる望遠鏡」に言及して研究課題を示している。




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20年度は人工知能や高出力レーザーなど35件を提示した。

助成される研究費は年一千万円前後から数億円に上る。

防衛省助成制度を巡っては、日本学術会議が17年の声明で「政府による介入が著しく問題が多い」と批判。

国立天文台は16年にいったん応募しない方針を決めたが、19年7月に常田佐久台長ら執行部が再検討を提案していた。

常田台長は取材に「自由に使える資金が減って困り、財源の一つとして防衛省助成制度を検討した。

別の外部資金の確保に向けて努力を続けたい」と話した。



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