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201127 中国との外交 「覇権」戒め協調の道を

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'20/11/27付北海道新聞朝刊7面 社説

中国との外交 「覇権」戒め協調の道を

中国の王毅外相が来日し、菅義偉首相や茂木敏充外相らと相次いで会談した。

ビジネス関係者の往来再開など経済面の連携強化を中心に、多岐にわたる合意を交わした。
対日関係で忘れてならないのは、中国が南シナ海で軍事拠点化を進めるなど、覇権的な動きを強めていることだ。




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沖縄県尖閣諸島の周辺では中国公船が領海侵入を重ね、接続水域での今年の航行日数は300日を超えて過去最多となっている。

外相会談では、偶発的衝突を避けるため、防衛当局の相互通報体制「海空連絡メカニズム」について、幹部間のホットラインを年内にも開設する方向で一致した。

尖閣は日本固有の領土である。

首相は王氏に「前向きな対応」を求めたが、曖昧な表現ではなく日本の施政権を侵すことがないよう中国側に毅然と要求すべきだ。

関係強化には、法の支配や人権重視といった価値観の共有が欠かせない。
中国に言うべきは言い、覇権的な動きを戒めながら、真の協調関係構築に向け、懸案を一つ一つ解決する必要がある。




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香港や新疆ウイグル自治区などでの弾圧も見過ごせない。

今月には中国人民代表大会常務委員会が、香港立法会議員の資格を剥奪する権限を香港政府に与え、民主派4人の資格が奪われた。
国際公約した「一国二制度」を無視する暴挙であり、首相が王氏に懸念を伝えたのは当然だ。

中国要人の来日は9カ月ぶりで、コロナ禍に世界第2、3位の経済大国が協力することは、世界経済や国際協調の立て直しに向け、大きな意義はあろう。




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ただ一連の会談では、延期した習近平国家主席国賓来日について話し合われなかったという。

中国側はさらなる海洋進出を念頭に、海上警備を担う海警局の武器使用を認める法の制定を急いでいる。 施行されれば、尖閣やその周辺を操業する日本漁船が対象となる恐れがある。

国民を挙げて中国首脳を歓迎する状況とは到底言えまい。
中国は国賓来日の障害を取り除く責任を認識すべきだ。




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王氏の来日は中国側の要望で実現した。
日本に接近を図る真意も見極めなければなるまい。

通商面の米中対立が当面続くと予想され、日米豪印が「中国包囲網」とも言える連携を強める中、くさびを打つ狙いが透ける。

対中政策は長期的な視点で慎重に練ることが肝要であろう。



210209-201127 7面社説中国外交覇権戒め協調の道を


中国の王毅外相は、25日、菅総理大臣と会談したあと、記者団に対し、沖縄県尖閣諸島周辺海域の情勢に関連して、「偽装した漁船が繰り返し敏感な海域に入っている。このような船を入れないようにすることが大事だ」などと述べた。