200512 韓国の元慰安婦 支援団体を批判
'20/05/12付北海道新聞朝刊8面の記事
韓国の元慰安婦 支援団体を批判
不透明な会計指摘 報道過熱
【ソウル上家敬史】元従軍慰安婦の韓国人女性が、支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」による不透明な会計処理を批判し、波紋を広げている。
女性は団体がソウルの日本大使館前で毎週水曜日に開いている抗議集会の廃止も要求。
団体は11日の記者会見で釈明したが、前理事長らを巡る疑惑も浮上しており、事態は簡単に収拾しそうにない。
女性は日本に謝罪と賠償を求める活動を30年近く続けてきた李容洙さん(91)。
2007年の米下院の対日非難決議採択に取り組んだことでも知られる。
李さんは7日に南東部大邱市で行った会見で、団体の会計処理について「募金・基金は慰安婦被害者のために使うべきだが、そのように使ったことがない」と指摘。
慰安婦問題を巡る15年の日韓合意に基づき日本政府が拠出した10億円に関しても、団体から十分な説明はなかったと主張した。
1992年から続く抗議集会については「憎悪だけを教えている」「参加した学生が出した募金はどこに使われるか分からない」と批判。
4月の総選挙で与党系比例政党から初当選した団体の尹美香前理事長(55)に関し「国会議員をやってはいけない」と主張した。
一方、団体側は11日の会見で、2017〜19年に計約22億1900万ウォン(約1億9500万円)の寄付を集め、このうち41%に当たる約9億1100万ウォンを元慰安婦の支援事業費に充てたと説明。
会計監査で透明性も担保されていると強調した。
抗議集会は今後も続ける方針で、李娜栄理事長は事態の沈静化に向け「おばあさんの不安感、怒りは謙虚に受け取める」とも語った。
ただ韓国メディアは団体の管理する奨学基金の不透明な運用や、尹氏が所得税の納税額を過少申告した疑惑などを次々と報道。
慰安婦問題の当事者が支援団体を批判する異例の展開を受け、報道は加熱している。