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210109 慰安婦訴訟 日本に賠償命令  韓国地裁「主権免除」認めず

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’21/01/09付北海道新聞朝刊1面の記事

慰安婦訴訟 日本に賠償命令  韓国地裁「主権免除」認めず

【ソウル上家敬史】旧日本軍の元従軍慰安婦の女性12人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、韓国のソウル中央地裁は8日、請求通り一人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を下した。
日本政府は、国家が他国の裁判の対象にならないという国際法上の原則「主権免除」を理由に棄却を求めていたが、地裁は慰安婦問題を「反人道的犯罪行為」と認定し、原則の適用外だと判断した。



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 1965年の日韓請求権協定と2015年の日韓合意を根拠に慰安婦問題は「最終的に解決済み」だとする日本政府の立場に反する司法判断が下され、元徴用後工問題などで冷え込んだ日韓関係のさらなる悪化は避けられない情勢だ。

 元慰安婦らが日本政府を相手取った損害賠償請求訴訟で、韓国の司法が判断を下すのは初めて。
地裁は判決で仮執行を認めており、原告は日本政府の資産差し押さえ手続きをすぐに開始することが可能となる。
日本政府の資産が差し押さえられれば、民間同士の争いだった元徴用工問題以上に深刻な外交問題となる。

 地裁は原告について「精神的、肉体的苦痛に悩まされた」と指摘。
日韓請求権協定や日韓合意で原告の請求権が消滅したとみなすことはできないと指摘した。



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 日本政府は主権免除の原則を踏まえ、審理に1度も出席しなかった。
加藤勝信官房長官は8日の記者会見で判決について「断じて受け入れない」と強調。
政府は韓国側に厳重抗議した。
ただ主権免除の原則を踏まえ、控訴はしない方針で、上訴審なしに判決が確定する公算が大きい。
日本政府が判決文の受け取りを拒否しても手続きは数週間で終わるとみられる。

 原告は、元慰安婦の支援施設「ナヌムの家」で生活する元慰安婦12人で、このうち生存者は5人。
13年に日本政府に慰謝料支払いを求める民事調停を地裁に申し立てたが、日本政府が応じず、16年に訴訟に移行した。
日本政府は訴状の受け取りを拒否したが、地裁は受け取ったとみなす「公示送達の手続きを取り審理を進めた。

 ソウル中央地裁は13日、元慰安婦支援団体の前代表、尹美香議員の不正を訴えた元慰安婦の李容洙さん(92)を含む20人が、日本政府に同様の損害賠償を求めた訴訟の一審判決も予定している。



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首相「断じて受け入れぬ」

 菅義偉首相は8日、韓国地裁が元慰安婦訴訟で日本政府に賠償を命じた判決を受け「国際法上、主権国家は他国の裁判権には服さない決まりであり、この訴訟は却下されるべきだ」と指摘した。
「判決は断じて受け入れることはできない」とも述べた。

 官邸で記者団に答えた。
首相は慰安婦問題が日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みだとの立場を強調し、「韓国政府が国際法上の違反を是正することを強く求めたい」と語った。

 悪化が続く日韓関係にどう対処するかは「まずこの訴訟は却下されるべきだ。そこから始まる」と述べるにとどめた。  (鈴木誠)



210610-210109付北海道新聞朝刊1面の記事 慰安婦訴訟日本に賠償命令


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