Cameraと散歩

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210606 第四の新居 3の3

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履 歴 稿    紫 影子  

香川県
 第四の新居 3の3


 私の家は、4月2日に丸亀市をあとに遠く離れた未知の北海道へ移住の旅路についたのだが、私の家が何故北海道へ移住をすることになったのかと言う動機は、それは第三の家に住まった時代のことであったが、横の小門から這入った私達の家の真裏に、6畳間2室に台所と言った小さな家が一軒在って、その家には丸亀12連隊の高橋と言う特務曹長が住まって居た。

 この高橋と言う特務曹長は、私の生家があった加茂村の神官をして居た由佐家の二男であったそうであったが、養子となって高橋の姓を名乗るようになった人であったと、後年の私が母から聞かされたことがあった。



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 その日がいつであったかということについては、父の記録にも無いので、私には判って居ないのだが、その日の父が、税務署の勤めを終って帰宅をしたばかりの夕刻に、「私はお宅の裏の家で、始終お世話になって居る高橋の兄ですが、ご主人と一寸ご相談をしたいことがありまして、お伺いしました」と言って、鼻下に鬚をたくわえた人が訪れて来た。

 その人の姓名は、由佐喜太郎と言って由佐家の長男であったのだが、何か不都合なことをしでかして父親との折合が悪くなったので、北海道へ移住をしたのだ、と言うことであったが、教員不足に悩んで居た時代であったので、早速小学校の教員になって、現在では小学校の校長をして居る。と言うことであった。



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 私の父は、愛想良くその人を座敷へ招じ入れて、やがて母の手になった酒肴に歓をつくして、2時間程の時を父と二人で快談をして、弟の住って居る裏の家へ帰って行ったのだが、その当時の私は、その人と父との間で、どのような会話が交わされたかと言うことは判らなかったのだが、北海道に移住をした後に、母が私に聞かせた話によると、「北海道と言う所は、とても住み良い所だから、御家も北海道へ移住をしなさい。そうして3年も頑張れば、必ず昔の御家に返り咲けますよ」と熾んに父を煽りたてたそうであった。

 そうした由佐と言う人の言葉に動かされた父が、「よし、北海道へ行けば家の再興が必ず出来るぞ」と言う夢を抱いたのが、私達を遥遥北海道に移住させた動機であったそうであった。



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